
アトピー性皮膚炎だと脱毛は肌に良くないのではないかと、諦めてしまう方もいるのではないでしょう。
でも実は、アトピーの方の中には、むしろ脱毛をした方がアトピーの症状が改善したり、肌がきれいになったりする方もいるのです。そのようなケースはどのようなときでしょうか。
また、アトピーの方が脱毛をする場合、どのような点に注意すればよいでしょうか。
目次
アトピーの方が脱毛をした方がいい理由

自己処理をしなくなることで肌ストレスが減る
アトピーの方の最大の悩みは、肌が乾燥しかゆみや肌荒れを起こすことです。
肌の角質層には、天然保湿因子(NMF)を含む角質細胞が、レンガのように重なり合っており、その細胞の間をセラミドという角質細胞間脂質で埋められつなぎとめられていますが、アトピー肌の人は、このセラミドが不足していると言われています。
角質層はたったの0.02ミリほどしかありません。ただでさえ薄いこの角質層をアトピー肌の人がカミソリなどで削ぐと、肌にストレスを与え乾燥や肌荒れを起こし、アトピーの症状が悪化してしまうのは言うまでもありません。
肌のバリア機能が回復し、乾燥や色素沈着が改善される
肌は基底層と呼ばれるところで新しく生まれます。そして28日かけて上へ押し上げられて、垢となって剥がれます。これをターンオーバーといいます。
メラニンは、外界のウイルスや紫外線など、肌を守るために生み出されるものですが、ターンオーバーが遅いとやがて色素沈着として残ってしまいます。
カミソリなどによる自己処理は、このターンオーバーを乱すだけでなく、やっと作られた新し肌を削いでしまう恐ろしい行為です。
特にアトピー肌の人は、普段から肌が乾燥しバリア機能が低下している上のに、新しい肌を削いでしまっては、肌が美しくなるはずがありません。
しかし、カミソリによる自己処理を止めるとターンオーバーが整い、やがて色素沈着していた古い肌が垢となって剥がれ、新しい白い肌に生まれ変わることができるのです。
厚く硬くなっていた肌が柔らかくなる
アトピーの方の中には、乾燥に加え皮膚が厚く硬くなっている場合もあります。これは、上記のターンオーバーが遅くなり、角質層がなかなか剥がれ落ちず、表皮に蓄積されて角質肥大を起こしている状態です。
しかし、自己処理を止めるとターンオーバーも回復し、肥大化していた角質層がやがて薄くなり、なめらかさや透明感を回復してくるのです。
アトピー性皮膚炎の人が脱毛NGな場合
皮膚が割れてぐじゅぐじゅしている人
どんなアトピーの肌でも、脱毛をおすすめできるわけではありません。アトピー肌に炎症が起こると、血管が拡張しリンパ液が漏れ出している場合がありますが、このような状態のときは細菌感染の可能性も高いので、脱毛も行えません。
掻きすぎて出血している人
アトピー肌だけでなく、傷ができ出血している場合は、レーザーやフラッシュ脱毛の光は当てることができません。傷を悪化させてしまうというだけでなく、赤血球の赤い色に光が反応し、やけどの原因になってしまうこともあるからです。
ステロイドなど薬剤を塗っている人
ステロイド剤にも強さのランクがあり、また成分も様々なので、全てのステロイド剤について、脱毛がNGということは言えません。
しかし、ステロイド剤には光に反応する成分が含まれているものもあり、それを塗って脱毛を行ってしまうと、やけどや色素沈着の原因となってしまうこともあります。
色素沈着がひどい人
日焼けした肌やVIOラインなど、色素に対応できるレーザー脱毛機器もありますが、アトピー肌の人の色素沈着はちょっと事情が異なります。
アトピーがあらわれている部分は、炎症を起こしていた部分で、やっとそれが治まっていたのに、光を照射することで、アトピーが再発してしまう可能性もあります。
もともとフラッシュ脱毛は、色素沈着がひどい部分には光を照射することができません。肌の保湿を行いターンオーバーを整えて、皮膚の色が少し薄くなってから脱毛をした方が良いでしょう。
アトピーの人が脱毛サロンやクリニックを選ぶポイントは?

肌診断をしっかり行ってくれる
HPや宣伝で「アトピー肌の方もOK」と謳っていても、必ず事前のカウンセリングを行い、契約の可否を判断するのが通常です。
アトピー歴や現在の症状、悪化した場合どのような状態だったか、その他のアレルギーなどについて、事前にきっちりとカウンセリングを行い、実際に患部を見てもらい契約するようにしましょう。
肌に刺激の少ない脱毛器を置いている
レーザー脱毛機器のパワーは強くて脱毛効果も高い一方、痛みも強いというのが一般的です。アトピー肌の人は、普通肌の人よりバリア機能が低いので、ちょっとした刺激も痛みを感じてしまったりすることもあります。
一方、脱毛サロンが使用しているフラッシュ脱毛機器は、パワーは弱い代わりに肌には優しいと言われており、痛みも少ないと言われています。ですから、アトピー肌の方の中には、あえてフラッシュ脱毛を選ぶという方もいます。
もしアトピー肌の方で、医療機関での脱毛を希望するのなら、できればレーザー脱毛機器とフラッシュ脱毛機器の両方を置いているクリニックを選んで契約した方が良いでしょう。
都度払いか回数制で契約できる
脱毛サロンや医療クリニック側が、脱毛ができそうだと判断しても、実際施術してもらうと、予想以上に痛かったとか、施術後乾燥がひどくなったなど、予想外のトラブルも発生するかもしれません。
しかし、有効期限のある前払い制だった場合、肌は荒れて脱毛はできる状態ではないのに、契約期間だけは過ぎ去り、結局ほとんど施術ができなかったということも起こりかねません。
そこで、アトピー肌の方が契約する場合は、できるだけ都度払いか回数制を選ぶ、もしくは有効期間を延長できる制度があるところで契約するようにしましょう。
医師提携サロンを探す
アトピー肌の方が脱毛する場合、通っている皮膚科で脱毛できると安心です。
しかし、アトピーに長けている皮膚科が、美容脱毛をやっているというケースは少なく、皮膚科と脱毛を分けて通わなければいけないというのが現状でしょう。
脱毛サロンに通うなら、不測の事態にも備えて、医師と提携している脱毛サロンを選ぶようにしましょう。
医師を提携することで、トラブルにも対応してもらえますし、希望があれば、脱毛間隔などアトピー肌の方に合った施術を、医師と相談して進めてくれるので、安心して脱毛を受けることができます。
脱毛するときの注意点

担当医師の診断を仰ぐ
脱毛サロンでは、アトピーの方が契約するときは、医師の診断書を要求してくる場合がほとんどです。
サロン側が安心するという意味もありますが、「この方はアトピーですよ」という認識を、施術担当者が常に意識する意味でも、診断書は必ずもらっておきましょう。
また、軽度のアトピーの方でも、必ず医師に相談して脱毛の契約をするようにしましょう。中には現在症状が出てないので、アトピーであることを黙って契約する方もいます。
しかし、脱毛はサロンとお客様の信頼関係で成り立っています。事前に告知してもらわなければ、避けることができた事故も起こってしまう可能性もあるのです。
パッチテストを行う
事前カウンセリングはどこのサロンも行うのが普通ですが、アトピー肌の方は、パッチテストも行ってもらうようにしてもらいましょう。
ひじの内側の皮膚の薄い部分に、数ショット光を照射してもらい、それから2,3日しても赤みやかゆみがなければ、一般的には大丈夫だと考えられます。
すぐに契約したいからと、パッチテストを省略してしまう方もいますが、自分の大事な肌のことです。面倒臭がらずに行いましょう。
脱毛施術後も保湿を必ず行う
施術した箇所は必ず保湿を行いましょう。施術から次の施術まで、毎日行うようにして下さい。
保湿は水分保持だけでなく、脱毛後、皮膚の中に残った毛を早く排出し、新陳代謝を高めてくれます。施術後一週間はできるだけ無香料・無着質の肌に刺激の少ないジェルタイプのものを選びましょう。
施術後の赤みや炎症性の浮腫が治まった後は、保湿効果の高い乳液など、油分の入ったものをプラスして、肌を整えて下さい。
まとめ
そもそもアトピーの原因の一つは、肌のバリア機能が低下しているためだと言われています。その大切なバリア機能を、毛を剃るたびにわざわざ傷つけてる、だから肌がますます乾燥してかゆみが出てくるという悪循環なのです。
脱毛サロンにはアトピー肌でも契約してくれるところはありますし、医療クリニックなら、トラブルにも対応してくれます。まずはアトピー肌でも契約できるかを電話で事前に確認し、カウンセリングからを受けてみましょう。